しあわせは 食べて寝て待て

 NHKドラマ10「しあわせは食べて寝て待て」を毎週楽しみにみていました。膠原病という難病と向き合いながら前向きに生きる女性の姿が丁寧に描かれており,私にとっても,かつてこの病で苦しんだ同僚や知人が何人もいたことから,非常に心に残る作品になりました。

・NHKホームページより

ドラマ「しあわせは食べて寝て待て」

 最近はマンガ原作の刺激的なドラマが増えていますが,正直なところそうした作品には少し疲れてしまいます。いくら原作がヒットしていても,テレビで毎週目にする過激なシーンは,仕事終わりにほっと一息つきたい気持ちにそぐわないことが多いのです。

 しかし,どのチャンネルも同じ時間帯では,何故か番組内容も似たり寄ったりで呆れてしまいます。恋愛ドラマならまだしも,殺人や暴力の描写が続くと,安らぎません。そういった話をすると「見なきゃいい」と言い返されそうなので,最近は録画の再視聴や読書することが多くなりました。このドラマも録画してBGM代わりに何度も見返しています。

 これまでのドラマと比較しても,派手な展開もなく,団地の一室での食事シーンなど地味で特徴が薄いと感じられます。久しぶりにはまってしまいました。都会の片隅にある団地という小さな社会で,身近な人たちが支え合って暮らしていく様子が,静かに,ゆっくりと描かれています。小さな団地で生まれるささやかなコミュニティの関わりに深く癒されました。

 日々追われる生活の中で,劇的なドラマではなく,こうした何気ない日常の物語こそ,多くの人が求めているものではないかと思うのです。人生は,良いこともあれば辛いこともあり,喜びと苦しみが入り混じりながら,日々の生活が繰り返されているのです。 

体調不良と共に

 私自身,30代後半から複数の病気で体調不良を感じるようになりました。また,教員として働く中で,同僚や保護者などそれぞれ持病や精神的な不調を抱えながら頑張っている姿,或いは力尽き亡くなった方々を見てきました。

 特に,地方の市町村で勤務した教頭時代に出会った20名の教頭先生の中で,6名の先生方が40~50代の現職中に亡くなられました。どの方も病気療養中ではなく,脳梗塞や心筋梗塞などの突然死でした。定年後ののんびりとした老後を迎えることすらできなかったのです。 

 今回このドラマを見始めたのは,膠原病で亡くなった同僚の女性教員のことを思い出したからでした。管理職として彼女の相談に乗っていたこともあり,その後転勤し数年後に訃報を聞いたときは本当にショックでした。担任業務の忙しさから休みも取れず,無理をし続けてしまったのだと思います。だから,このドラマに描かれる「食べて,寝て,待つ」日常を大切にしていく姿が,心に沁みるのです。  

膠原病について

 膠原病の一つリュウマチは叔母なども罹る身近な病名でしたが,発熱や倦怠感など膠原病の関連症状などをはっきり知ったのは,義母が60歳を越えてからこの病に罹患してからでした。子どもが風邪をひくと「うつると死ぬので家に来ないで」などと言われ,そんな大げさなと内心思っていたのです。義母は仕事も辞め,投薬の影響なのか見る見るうちに太ってきました。

 義母が膠原病に罹って以降,同僚や知人にも同じようにこの病で苦しんでいた方が多いことを知り驚きました。この病気は,免疫機能の異常反応によって引き起こされ,完治することはなく,一生つき合っていかなければならないそうです。義母も60代で発症し,その後の生活には多くの制限がありました。薬の影響で体重も増え,入退院を繰り返しながら,最終的には80歳で亡くなりました。表には出さなかったものの,きっとつらい思いを抱えていたのだと思います。 

友人の死

 特に印象に残っているのは,子どものクラスメイトのお母さんが若くして亡くなったことです。とても明るく,活動的な方でPTA役員もされ,スポーツ少年団の行事やキャンプにも家族ぐるみで一緒に参加していたからです。そんなお母さんが膠原病を患い,突然体調を崩されたのです。(突然ではなかったのかもしれませんが…)病院へお見舞いに行ったときには,顔や手がむくみ,指先が白く変色していました。

 いよいよ危ないと連絡を受けた日,病院に駆けつけたところ,すでに病室にはおらず,廊下でお父さんと会うと,奥の処置室に通されました。亡くなってまだ時間がたっていなかったのでしょう。頬には涙のあとが残っていていました。また,葬儀のとき,まだ小学校一年生だった長男は事情が呑み込めず,参列していた人の中に友だちを見つけると笑顔で手を振っていた姿が忘れられません。あまりにも辛い出来事でした。

 そんなことがあった後,しばらくして娘が体調不良を訴えた際,血液検査で膠原病の数値が高いことを指摘され,専門の病気で精密検査を受けたことがありました。膠原病の可能性を疑われたときには大きな不安が押し寄せました。当時,膠原病は遺伝するとも言われており,精密検査の結果を待つ間は気が気ではありませんでした。幸い異常は認められず,今は元気に過ごしています。

 こうようなこともあり,このドラマ「しあわせは食べて寝て待て」は私にとってとても身近で,心に響くドラマです。病と向き合う姿だけでなく,静かな日常の中にある小さな触れ合いが,どこか自分自身の体験とも重なって感じられるのです。

・NHKホームページより 

わが家にも薬膳ブーム

 最近,妻がテレビの影響で「薬膳」に夢中になっています。ダイコンの生かじりやトウモロコシのひげのスープなど初めて食しました。感化されやすい性格も手伝って,先日は「これで料理すると健康にいいのよ」と,だし巻き卵用のフッ素加工していないフライパンまで買ってきました。

 年齢的にも,食事の内容に気を配ることが大切になってきたのを実感しています。カロリーはもちろんのこと,栄養バランスなど旬の食材を意識して,体の内側から整えていく~そんな意識が夫婦そろって高まってきました。

 ドラマをきっかけに始まった小さな変化ですが,こうした日々の積み重ねが,将来の健康につながるのだと思います。これからは「何を食べるか」だけでなく,「どう楽しんで食べるか」も大事にしていきたいと思います。~ついでにおとものお酒も…

タイトルとURLをコピーしました