アメリカのユニセフ脱退

湾岸戦争の1兆円

 日本は湾岸戦争の際,1兆2,000億円もの支援を行いましたが,世界で十分に報道されず,感謝の声もほとんど聞かれませんでした。国民一人あたり約1万円の負担であったにもかかわらず,日本人以外支援の事実すら知られていなかったのは残念です。

 国際間の支援そのものには賛成ですが,「これは日本人からの支援です。困ったときはお互い様です。日本が必要物資の輸入停止など困った時は,是非協力してください」とはっきり伝えることも大切だと考えます。世界情勢を考えると日本としてもいつ何が起こるか分からない混沌とした時代になりました。今後の日本の安全保障を考えると,是非国の立場を主張して欲しいのです。

 東日本大震災時に海外から寄せられた義援金の額で,アメリカと台湾からは共に29億円以上の義援金が届けられました。日本は法的制約により自衛隊の国際支援を積極的に派遣できない事情があります。そんな中,台湾は能登半島地震でも「助け合うのは当然」と約25億6,000万円を寄付してくださいました。日本が困っているときいつも手を差し伸べ,寄り添ってくれる有り難い隣人なのです。

 昨日(7月22日)世界一の拠出国・アメリカがユネスコ脱退を表明しました。中東問題など複雑な要因が絡んでいるのでしょうが,(何も言えない日本人)何だか更なる負担が圧し掛かるような気がします。アメリカは資金だけでなく,運営面にもきちんと意見を伝えることの重要性を示してくれました。また一部報道では,数年前から国連やユネスコにおける中国の影響力が指摘されています。ユニセフへの拠出額で中国は上位20組織に入っていないにも拘わらず,発言力は強いようですので,是非支援した国を明らかにしてください。ネット情報によると,アジア・アフリカには中国と協力関係が深い国々が多いそうです。事実でなければ細かい資料を明確にしてデマを払いましょう。 

 一方,日本ユニセフ協会は世界でも二番目の支援規模でありながら,発言力は相変わらず弱い印象です。また,寄付金の使途に関する情報開示についても,地域別の大まかな分類しか見当たらず,国別やより具体的な支出先を知ることができませんでした。ホームページの写真にはアフリカ系の子どもが多く登場し,アフリカの子どもたちに行きわたっているイメージですが,実際にどの国にどの程度,支援されているのか,透明性を高めてほしいと思います。日本もそろそろ物申すことができる国になって欲しいのです。それができないのであれば,何もユニセフを通さなくても,外務省や各国大使館,現地日本法人などから直接その国に支援した方が感謝され,人件費も要らずいいと思います。

 日本の国内情勢を考えると,震災復旧や日本人の貧困問題も深刻であり,ユニセフへの運営面の改善を求めることもなく拠出を続ける余裕はないのではないかと思います。

繰り返されるユニセフ寄付のCM

 また,ネットを開くと毎日のようにユニセフの寄付広告が繰り返し表示されています。最近では遺産や不動産の現金化,株式,骨董品,祝儀返し,香典返しなど,あらゆる形の寄付が呼びかけられています。流石にその姿勢には少々違和感を覚えます。アメリカが脱退した今,更なる奇抜な寄付が登場するのではないかと思われます。

 特に遺産寄付に関しては,家族間のトラブルを考慮しているとは思えません。例えば,疎遠だった家族が,葬儀後に遺産がユニセフに寄付されたと知れば,大きな混乱を招くこともあるでしょう。遺留分が保障されているとはいえ,遺産には現金だけでなく,放置した山林や田畑,老朽化した家屋なども含まれていることも多く,遺族にとってはその処分が困難なケースもあり,贈与された現金で相殺したり,兄弟で負担しあったりしていることが多いのです。

 そのような現実を踏まえたうえで,寄付プログラムは作られているのでしょうか。現金や価値のある資産だけを受け取り,残された困難な処理は遺族に丸投げしているようです。近年,学校近くの危険な建物を子どもの安全確保から税金で撤去したニュースも聞きます。このような負の遺産が残っていても,判断力のない高齢者が感情で寄付したとしても最終的に日本の税金で処理してと言っているようなものです。結果として日本の税金につながる可能性が少しでも残ることには疑問を感じます。

 国連やその下部組織であるユネスコなどの国際機関には,既得権益が形成されていることが多く,経済的・政治的に恩恵を受けているといわれています。しかし,日本は依然として資金を拠出するだけの国のように見られています。2019年に国際捕鯨委員会を脱退したように正面から「国益を主張できる国」になってほしいのです。

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