国語の授業で難しい指導の一つに「叙述に即して正確に読み取る」内容があります。これは一朝一夕に身につくものではなく,物語文の学習においては,内容を正しく読み取るために,まず「文章に即して読むこと」の重要性を前もって子どもたちに説明していました。
叙述に即した読みの系統
低学年(第2~4学年)では,「文章の内容を正しく読み取る」指導が中心でしたが,高学年になると,「叙述に即して細かい点にまで注意を払いながら内容を正確に読み取ること」が求められるようになります。特に,登場人物の気持ちや情景の描写に注意を払い,それを味わいながら読み取る段階まで高める難しさがあります。さらに主人公の感情や意見,関係性を把握しながら読み進めることが求められます。また,優れた描写や叙述を深く味わい,理解する力を養うことが大切で表現領域の指導まで関連していくのです。
以上の内容を基に,事前指導を行っていました。若い先生方の参考にでもなればと思い投稿します。

「一問一答式」と「自由発表」
※ 次の文は,「叙述に即す」とは何かを教えるために事前指導した際に使っていた例文です。ありふれた内容ですが,想像でなく叙述に書いてあることに着目することを何回も繰り返して指導しました。
4時になったので,正男はベランダに出て,背伸びをして曲がり角を見ました。 (お母さん今日も遅いのかな)と思いました。 約束の時間に遅れちゃうと,正男は段々焦ってきました。 |
授業中の発問には「一問一答式発問」や読み取ったことを「自由に発表させる発問」があります。
① 一問一答式(一つの質問に対して答えが一つしかないもの)
T、 何時に見たのですか。
C、 4時です。
T、 どこから見たのですか。
C、 ベランダからです。
T、 誰を待っているのですか。
C、 お母さん
これでは,叙述に即した読みとは言えません。どんな読み取り方が良いか少し教えていくと,子どもたちは,次々に発表できるようになります。

② 自由発表(叙述を根拠に,思ったことを自由に発表すること)
C、「4時になったので」と書いてあるので,時計ばかり見ながら4時になるのを待っていたんだね。
C、「背伸びをして」とあるから,お母さんが帰ってきたかどうかを,少しでも早く知りたいんだね。
C、「今日も」って書いてあるから,この頃遅い日が多いんじゃないかな。この子は,とてもがっかりしているよ。
C、「段々焦ってきました」から友だちとの約束が守れなくなることがいやだったのでしょう。
C、お母さんが帰ってきたら,直ぐ約束事に行きたかったのでしょう。
C、お母さんが帰ってくるのを何で待っていたのだろう。ぼくならすぐ行くのに。
というような読み取りになっていきます。
このような読み方は,非常に大切にしなければなりません。子どもたちに事前に指導した後,発表の際は「〇〇という表現から~と言える」や「〇〇と書いてあるので,~だったんだなあと思いました」といった発表話型の中で,自分の考えを自由に発表させます。
すると,子どもたちから多くの意見が出て,最終的には主題に直結する考えが生まれます。ただし,叙述から外れる意見も出やすいため,その都度修正を加えながら進めていきます。
このような指導を繰り返すことで,登場人物の感情や意見,関係性を関連付けて読み進めるようになり,優れた情景描写や叙述を自分の表現に取り入れようとし,語彙力も高まっていきます。