学校よもやま話「だじゃれと怖い話」

だじゃれ

 私は昔からダジャレが好きで,授業中によく脱線していました。「怖い話」や「昔話」は楽しそうに聴いてくれた子どもたちも,私がダジャレを言い出すと止まらなくなることを知っていて,「先生,授業を続けてください」「つまらないからやめて」などと言われ,あまり人気がありませんでした。しかし,うまくできたダジャレを連続して言うと,渋い顔をしていた女子もクスッと笑っているのを見ると,勝ったと思えるのです。この瞬間が楽しみでもありました。

 教頭になった時もこの悪い癖は治らず,若い先生方にも同じようにダジャレを言うと,本当に嫌がられました。教頭になりたての頃,私は不慣れと緊張からしかめっ面をしていたと思います。若い先生方も緊張していたのか,私が冗談を言うタイプに見えなかったのでしょう。

 ある日の掃除時間,職員室内の棚の整理をしていたら,赤く錆びついたナタが数本出てきました。忙しそうに印刷をしていた女性の先生に「先生,ここ壊れているね。修理しないとね」と声をかけました。どこですかと聞いてきたので,すかさずナタで机の角の凹んで裂けた所を指さし,ツ叩きながら「ナタで・ここ,ナタデココ,ここ」と言いました。

 その先生は鬱陶しそうな顔をして,「忙しいんです」と言いながら笑いもせず職員室から出ていきました。丁度ナタデココブームの頃でしたので,これはいけると思っていただけにショックでした。しかし,数分後,その先生が戻ってきて「後からじわっときました。面白かったです」と言ってくれたので,少しほっとしました。

 また,新採の女性の先生が「教頭先生,会社宛てに手紙を出す場合は,〇〇会社 御中(おんちゅう)でしたよね」と尋ねてきました。私が即座に「違うよ,『ウォンチュウ』だよ」と右手を広げながら当時流行っていたギャグを言うと,またしても何も言わずに職員室から出て行きました。男性の先生方なら気遣って最低でも苦笑いをしてくれますが,あまりにも冷たい対応をされると,さすがに傷つくものです。

怖い話

 低学年の子どもたちは昔話が好きです。帰りの会でその日の出来事に関連した「一日一話」で昔ばなしを即興で話しました。その中で怖い話になると子どもたちは集中して聞いていました。しかし,怖い話が苦手な子たちも結構いるのです。私は怖がるこどもたちの様子を見ながら,調子に乗って怖い話を続けていました。

 PTAの時,あるお母さんが「先生,子どもたちに怖い話をするのはやめてください」と言ってきたのです。理由を聞くと,夜眠れなくなったり,祖母の墓参りに行かなくなったりするからだそうです。すぐに謝りましたが,「これから先も怖い話はしないでください」と言われると,少し違うかなと思いました。そこで母親に一言,「あの子は優しくて感受性が強い子ですね。怖い話は本来,祖先を大切にしなさいという意味や危ないことはしないでという願いも込められているんですよ」と付け加えました。その後「一日一話」は,怖い話を減らし県内の民話を中心に面白い話や不思議な話に変更しました。

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