小学校1年生の夏休み,近所の川で遊んでいた時の話です。いつも遊んでいたその川には,小さな取水ダムがあり,上の段の深さは2メートルほどだったと記憶しています。川岸から3~4メートルほど離れた水中に2畳ほどの岩場があり,そこまでは無呼吸で泳ぐことができました。その日は,10名ほどの小・中学生がいて,何名かの中学生が水中メガネを使って泳いでいました。私も水中メガネを借り,初めて着けて泳いでみました。
・田植えの時期は取水口から水を取り入れる
初めての水中メガネ
いつものように川岸から少し先の岩場まで泳いでいたのですが,水中メガネを通して見ると水中のものが大きく見え,まるで宇宙遊泳しているみたいでした。いつもよりも岩場が近く感じ,着いたと思い足を岩場につこうとしたものの,実際にはまだ岩場に到達していませんでした。あっという間に大量の水を飲み込んで溺れてしまいました。近くにいた中学生に必死で助けを求めましたが,冗談でバタバタしていたと思ったのか,指をさして笑うばかりでした。「意識が遠のきもうだめだ」と思ったその瞬間,泳げないはずの3歳上の兄が,平泳ぎ(犬かき?)でこちらに向かって近づいてくるのがスローモーションのように見えました。兄は私の首を掴んで堤防の上に引き上げてくれました。
私は大声で泣き崩れましたが,その様子を見た中学生たちは,本当に溺れていたことを知り怖くなったのか,いつの間にかいなくなっていました。兄が,弟の溺れているのを見て,すぐに助けに来てくれたのは兄弟の絆があったからこその行動だったと思います。もし兄がいなければ,私はおそらく溺死していたでしょう。兄には命を救ってもらい,本当に感謝しています。
・ ウィキペディア画像
それ以来,私は深い場所では泳がなくなり,足の届く下流の浅瀬で,ダンマエビ(テナガエビ)やフナを網で捕まえて遊ぶようになりました。またその川はウナギがよく釣れる所でしたが,低学年の私たちには釣れるはずもなく,隣の書道塾の先生がウナギ取り名人でよく分けてもらっていました。
それにしても,子どもの頃はあんなに大きくて深い川だったのに,大人になってから久しぶりに訪れるとこんなに小さかったなんて驚きですね…。