高隈山系の「中嶽・鷹ノ羽嶽?」(3)【R5】6月8号

3  近戸宮権現社(瀬戸山神社) ~三国名勝図絵「下巻64P・71P」より~

(1) 例祭日

〇 権現嶽(立蔵権現社)「神体は金座像 例祭は9月9日」

〇 中嶽(蔵王権現社)「神体は金座像 例祭は9月9日」

〇 近戸宮三所権現社「地頭館より北の方角8キロ」大窪村にあり,祭神はよく分からない。木座像 三体を安置している。木像の裏に作者名の銘あり,永淳2年(683年)仏師は治部法橋大願主・慶賢法印とあり。

(2) 当社は高隈嶽の麓にあり,仁王門に沿って松杉道を挟み,列をなしておよそ900mばかりで鳥居に至る。高隈三所権現という。石段62段を登ると社頭に至る。社庭(境内)の四隅古木森が鬱そうとしている。近くに祓川が流れている。鳥居の右側に別当五代寺がある。高隈嶽山頂の神社は険しく高いので,当社を山麓に建て,参詣しやすくなったので近戸宮と公称している。当社は牧野の守護神も兼ねている。例祭は9月9日,前条権現嶽,立蔵権現社,中嶽蔵王権現社とこの近戸宮を三所権現と公称している。別当五代寺より祭祀を行い,祭日には山頂の2社及びこの近戸宮へ参詣する者およそ3~4百人に及ぶと言う。

(3) 高隈山

 この山岳は,複雑に曲がりくねり,大小の山々が重なり合って大きな波のような奥深い谷間の森林。遠くや近くで雲と霧が漂っている。まさに大隅第一の高い山で,鹿屋・花岡・新城・垂水・百引・牛根の村々はみなこの山の麓に位置している。この山は諸村にまたがっており,高隈山の名は高隈の地に係わっているからであろう。およそ各山頂は風が激しく木々も大きくならないという。              

(4) 山中に高隈三所権現を崇拝している。三所権現及び別當寺「神社を管理する宮寺」は鹿屋にある。鹿屋はこの山の南側に当たるので,毎年3月4日に,近くの村々の男女が,七岳詣でを行う。七岳とは「①盆山・②大箆柄岳・③小箆柄岳(大隈山)・④妻岳(端岳)・⑤御岳・⑥中岳(平岳)・⑦近戸宮(瀬戸山神社)」という。御岳,中岳,近戸宮(瀬戸山神社)を除いては樹木をご神体としている。高隈は奥深い森林であるので,不思議な怪しいことが度々起こる。故に人々は皆恐れ敬っている。領内の不思議なことが多い場所は,霧島山と高隈山である。中岳(平岳)には,蔵王権現の小祠屋を立てている。この山は少し低いので,樫やクヌギなどの大きな樹木がうっそうと茂っている。だから猟師が宿泊地としている。祠を80m下れば湧水が勢いよく湧き出している。                                               「三国名勝図絵」より~

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