都道府県の形(4年社会科)
社会科の「わたしたちの県」という単元で,「日本地図を広げて~県の広がり」という内容がありました。子どもたちは,副読本に掲載されていた千葉県や神奈川県,茨城県など特徴的な形を見てその位置と名前を当てていき,最後に鹿児島県の特徴について調べる内容でした。
子どもたちが本県本土の地形について思った感想は,尖った佐多岬や池田湖,吹上浜,坊津のリアス式海岸,そしてその中心に位置する錦江湾や桜島などの地形が,県を薩摩半島と大隅半島に分ける大きな特徴となっているという意見が多いでした。
この地形が形成された経緯について説明する際,若尊カルデラが大爆発し鹿児島の地下に溜まっていたマグマを噴き出したこと。それによってできた巨大な空洞が陥没し,そこに海水が入り込むことで錦江湾が形成されたことなどシラス台地や雄大で美しい地形には僅か一週間で生物を全て焼き尽くした恐ろしい噴火の歴史があったことを説明しました。
その後,白地図に鹿児島県の簡単なイラストを描かせたら,その絵の中に可愛い恐竜の絵を描いたものがありました。このアイデアを参考にして,私が描いたのが下の絵です。
鹿児島県の形はドラゴン
・ イッシー(薩摩)と大隅湖サウルス(大隅)の決闘
「石川県の形はカニの爪・カニ半島と呼んで‼」
昨年末,石川県のPR広告が注目を集めました。石川県の形がカニの爪に似ているというアイデアには,確かに驚かされました。しかし,わずか一月も経たないうちに,能登地方を中心に大地震が発生し,再び震災の恐怖が私たちの前に立ちはだかりました。この地震で200人以上もの尊い命が失われました。
阪神淡路,東北,熊本と続く大震災の連鎖。日本は地震列島とは言え,余りにも災害に見舞われ過ぎています。そして,被災者を一人でも減らすための取組があったのではないかと,災害が起こるたびに「あーすれば,こうすれば」と頭によぎるのです。
日本の地形を特色付けている北海道側に突き出した津軽半島や下北半島(青森県),リアス式海岸(岩手県),日本海に突き出した能登半島(石川県),太平洋に突き出した房総半島(千葉県)や伊豆半島(静岡県)などは非常に特徴的で美しい形状をしています。一方で,特徴的ということは,通常の地形ではなく,異常な形とも言えます。
日本列島は複数のプレートがぶつかり合い,隆起,沈降,移動など様々な地殻変動が起きています。また,大地震や火山活動によって,長い年月をかけて山脈が隆起したり,沿岸部が沈降したりしています。それにより甚大な災害が起こっているのです。長い年月を経て形成された結果が地形であるとも言えます。本県の南西諸島に向け突き出した薩摩半島や大隅半島もその一つの例です。
ところで,鹿児島のシラス台地について,一般的な認識は桜島の火山灰が積もったものだと思われていますが,実際には桜島が誕生する以前,約29,000年前に発生した巨大な噴火(若尊カルデラ)が二つの半島を形成したのです。この時,県全土を60mの厚さで覆うほどのマグマが火砕流となって噴出し,姶良カルデラが形成されました。たった1週間程の大噴火で軽石,火山灰,火砕流が流れ込み,山も谷も埋め尽くされ,残った地形が現在の鹿児島のシラス台地となったのです。
・ 若尊鼻から隼人沖の弁天島・沖小島を望む
8.6水害の後,鹿児島市は各学校において,食料や水,毛布などの生活必需品の備蓄を開始し,さらに校庭では,浸水被害を防止するための「校庭雨水貯留施設」の改修を行っていました。過去の反省に立ち,災害多発県として準備を怠らない姿勢は立派だと思います。(現時点,備蓄の有無の確認はとれていませんが…)
大きな断層が走っている地域や火山地帯,津波危険地帯などは避難訓練と共に,人命を守るため常に備えをしておく必要があるのでしょう。災害対策は広範囲にわたり莫大な費用がかかることは理解できますが,例えば「家屋の柱数本を鉄骨にするだけでも命が守れる」と聞いたことがあります。もちろん誰でも考えていることでしょうが。
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