「知らんけど」コーナー
各社から高市内閣の支持率が発表されました。安倍政権時代を上回り,どの調査でも軒並み高いようです。ところで,「支持率下げてやる」で話題になった時事通信社の支持率がどうだったのか,気になりました。ところが,いくら探してもネット上では見つかりませんでした。探し方が足りなかったのでしょうか。仕方がないので,「知らんけど」コーナーを考えてみました。
| とある新聞社のビルの2階にある喫茶「記者クラブ」。珈琲とスクープの香りが入り混じる喫茶店でのことです。その日もいつものように,ラフなジーパン姿の〇〇通信社の方々がやってきていつものように打ち合わせをしています。 新政権発足ということで,いつもより熱い政局の話題が飛び交っています。 「ところで新政権の支持率はどれくらいにしますか。5~60%でよろしいでしょうか」 「いや,もっと高くだ。70以上にしておけ」「はい,わかりました」 さらに続く。 「ガソリン減税と〇〇の問題は,野党の反対意見の“絵”を撮っておけ」「何名ほど要りますか」「5~6名準備しとけ」「例の働き方改革での被害者インタビュー,2~3本用意しておけ」 「えっ,一度にですか? あのー,来週,結婚式の準備がありまして,少し休みを……」 「何をこんな時に戯けたことを言っている。働いて,働いて,働き抜け!結婚式どころじゃない!「馬車馬のように働け」自民党政権を筋書き通りに潰すのが我々の使命だ。それ以外は必要ない。 「支持率70%から半年後には一気に20%代に落とすぞ。いいか!」 一年後,その社員は過労死した。そして二年後,彼の妻がこの会社と国を相手に訴訟を起こしたそうだ。その日の〇〇通信社のニュースの見出しにはこう書いてあった。「政府の政策失敗と機能不全により尊いわが社の優秀な社員が犠牲」…ま,知らんけど。 |

異論!反論!OBJECTION
当ブログのカテゴリー「異論・反論~議論・討論」は,ニュース番組『NEWS23』のコーナー「異論・反論・オブジェクション!」のパロディとして設けたもので,ひとつのテーマをもとに,単に私自身の経験や考えを紹介するコーナーです。マスコミが報じる記事について,一人でも多くの方がそれぞれ異なる立場で意見を出し合えればいいと思っています。
もちろん,テレビの街頭インタビューのように多くの人に意見を聞いたり,調査等を行ったりすることは一切していません。あくまで筆者個人の考えを綴る場であり,特に社会的な問題については,高齢者の立場から賛成・反対を問わず私が考える見方・考え方を取り上げ,反日的な視点や課題を考え直すきっかけにしたいと思っています。
また,タイトルには少し皮肉を込めています。というのも,近年のテレビニュースに見られる反日的な報道や偏向報道には,正直なところうんざりしているからです。政権支持率の調査方法やニュース解説の根拠が不透明であることは,以前から指摘されてきました。特に街頭インタビューにおいては,SNSなどで「同じ通行人が服を替えて別の番組にも登場していた」「スタッフなど関係者が映っていた」といった証拠の写真や画像が広まり,偏向報道のための番組側の「仕掛け」が見え隠れしています。そうした報道姿勢への皮肉を込めて,このタイトルをつけました。

NEWS23で知った世論の見方
私は筑紫哲也さんの『NEWS23』が大好きで,平成元年から8年間,毎日楽しみに観ていました。ニュース番組でありながら,社会情勢だけでなく,文化・芸術・旅行・趣味など幅広いテーマを扱っていたのが魅力でした。中でも「異論・反論・オブジェクション!」のコーナーが特に印象に残っています。街の声を丁寧に拾い上げ,若い世代の考えを知ることができる貴重な時間でした。同じ九州出身(日田市出身)ということもあり,筑紫さんの姿勢に共感し,「本物のジャーナリストとはこういう人だ」と心から感じていました。
TBSビデオ問題
平成元年に起きたTBSビデオ問題,いわゆる「坂本弁護士一家殺害事件」は,報道倫理の在り方を問う大きな出来事でした。TBSは公開捜査の直前に問題となる取材映像を警察へ通報せず,さらにオウム真理教幹部にそのビデオを見せていたことが後に判明しました。これはジャーナリズムの原則を逸脱する行為として厳しく批判されました。当初,TBSは事実を否定していましたが,平成8年3月25日,ついに映像を見せたことを認め,謝罪するに至りました。その夜,『NEWS23』の「多事争論」で筑紫哲也さんは,自らの言葉で深い反省を語りかけたのです。

TBSは今日死んだ
昼のニュースを聞き筑紫哲也さんがどんなことを発言するのか強い関心から『NEWS23』を見ていました。「報道機関の基盤は信頼にある」と語り出しました。そして,「TBSは今日,死んだに等しい」と厳しく言い切りました。過ちそのものよりも,その後にいかに真摯に向き合い,どう立て直すかが最も重要だと訴えたのです。
「筑紫さんは,今日の午後まで私はこの番組を今日限りで辞める決心でおりました。」と語りましたが,「スタッフや局内の人々と議論を重ね,再生に向けて共に努力する道を選びました」と言ったのです。深く傷ついたTBSが再び信頼を取り戻すために,自らも「責任をまっとうする」との表明でした。その瞬間,何でとの思いが募り裏切られたような強い感情が沸いてきました。彼は絶対辞表を叩きつけるだろうと思ったからです。それまでの発言や彼の信念からそう思ったのです。しかしその後もさらに12年間,計18年5ヶ月の長い間,『NEWS23』のキャスターとして報道の現場に立ち続けました。

TBSの企業倫理
それまでのTBSは,不祥事を起こした企業やその社長に対し,「責任をまっとうする」と言うことだけでは許さず,徹底して追及して退陣まで追い込む報道機関でした。
そのTBSが同じ立場に立たされたとき,どの顔で報道を続けるのか,そう感じずにはいられませんでした。尊敬していた筑紫哲也さんであったからこそ,その対応には深い失望を覚えました。これまで他者に求めてきたように,自らも「責任を取って辞めます」と言ってほしかったのです。今で言えば,まさに“ダブルスタンダード”の先駆けのように思え,残念でなりませんでした。
さらに後年,「異論・反論・オブジェクション!」の街角インタビューにやらせがあったと,週刊誌に告発するジャーナリストも現れました。そのことを踏まえ,討論番組の在り方に皮肉を込めて「異論・反論・議論・討論」というカテゴリー名を使うようにしました。
筑紫さんからはニュース解説の重要性を学びましたが,同時にこの番組を通じて,マスメディアがいかに偏り,信頼を失っているかも知ることが出来ました。

平成元年に起きた「TBSビデオ問題」がなければ,6~7年後のサリン事件の有無や被害の大きさ,少なくとも冤罪・報道被害などはなく,オウム事件も別の異なる結末になっていた可能性もあります。
