校医さんの想い出

 

志布志の大慈寺

 かつて私が曽於地区の学校に勤務していた時、学校の校医さんが亡くなり葬儀に参列しました。その方は地区内で非常に有名なお医者さんで、葬儀には県内外から多くの参列者が集まりました。葬儀会場は志布志の大慈寺で、臨済宗の名刹「臨済宗十刹」に数えられる立派な寺院です。庭園や重厚な本堂が荘厳な雰囲気を漂わせていました。寺門から本堂まで数百人の方々が列をなしており、故人が如何に地域の方々に慕われていたのかがよく分かりました。

・大慈寺(三国名勝図絵) 

校医さんの想い出

 わたしも校医さんの存命中,風邪などの診察をしてもらっていましが,とにかく話好きな優しい先生で病気の原因や治療法から世間話まで楽しく話してくださいました。治療に入るまで10分以上次々に話し続けるので,看護師さんたちが先生の話を遮らなければ終わらないほどでした。 

 また,年に数回,学校の子どもたちの健康相談にも来てくださり,一人一人に言葉をかけていだだきました。子どもたちにとっても思い出に残る優しい校医さんでした。

子どもたちの祈り

 ある日,校医の娘さんから学校の子どもたちに寄付をいただきました。その際,病院の存続について保護者からの依頼もあり,私から再度続けてもらえないかと話をしてみましたが,娘さんの意志は固く,存続は出来ないとの返事でした。

 しばらくの間,県外在住の娘さんが残務整理をしていましたが,やはり病院は閉鎖されることになりました。全校朝会で校医の先生が亡くなり病院も無くなることを伝えると,大変驚き涙を流す子どもたちもいました。

 その翌日からのことです。病院の前を通学する子どもたちが,門の前で「なんまんだ,なんまんだ,先生が天国に行けますように…」と毎日,頭を下げて通って行ったそうです。その光景を見ていた娘さんがある日学校に来られ,「先生もう一度病院を続けてみようと思います。子どもたちが毎日,手を合わせる姿を見ると,今閉鎖することは出来ないと思いました。」と言ってくれました。本人も県外から戻って来て,「新たに医者も派遣してもらうので病院を再開できそうです。今後も校医を続けさせてください。」とのことでした。子どもたちも保護者も大喜び,けなげな子どもたちの姿が娘さんの心を動かしたのです。校医さんもきっと天国で喜んでいることでしょうね。

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