
先日,鹿屋市内の酒店で,ユニークなタイトルのビール(発泡酒)を見つけ,思わず購入しました。商品名だけでなく,販売元の会社名も「LET IT BEER 合同会社」となっており,鹿屋市打馬にある会社のようでした。その夜,高木ブーさんの「LET IT BOO」を聴きながら,そのビールを楽しみました。

・宮崎の「青空エール」と鹿屋の「レットイットビール」
初めて覚えた英語の歌詞
私は,自分では「リアル・ビートルズ世代」だと思っています。1969年の解散前からレコードを購入し聴いていたからです。また,初めて英語の曲を全文覚えたのもやはりビートルズでした。
当時の私の学級には,帰国子女で凄いビートルズファンの友人がいて,レコードが発売されると,すぐに購入し,曲を丸暗記して教室で披露していました。私たちはその歌の上手さに感心し,みんな彼に拍手を送っていました。彼からいつも単語の意味や発音,いくつかのフレーズなどビートルズの曲の覚え方を教えてもらいました。
私が中学生になると,ビートルズは解散しました。そして初めて映画館で観たビートルズ映画が『レット・イット・ビー』でした。スクリーンいっぱいに映し出される四人の姿は衝撃で,その映像は今でも鮮明に残っています。

・「レット イット ビール」と「レット イット ブー」
高木ブー『LET IT BOO』
高木ブーさんは,ザ・ドリフターズのメンバーでコメディアン,そしてウクレレ奏者としても知られています。ビートルズが日本武道館で来日公演を行った際,ドリフターズがその前座を務めたこともあり,高木さんによるビートルズのカバーへとつながっているようです。
アルバム『LET IT BOO』では,「LET IT BE」や「YESTERDAY」など,ビートルズの名曲11曲をウクレレ演奏と歌唱でカバーされています。アルバムタイトルが『LET IT BOO』ということで,どうせなら収録曲も「OB-LA-DI, OB-LA-BOO」や「LOVE ME BOO」といったユニークなアレンジタイトルにすればいいのにと少し頭をかすめました。
演奏も派手なテクニックではなく,ゆったりとした穏やかなスタイルで,何と言ってもその歌声には癒しの力があります。夏場に窓を開けて海岸線をドライブすると,まるでハワイの空気が漂って,聴く人の心を和ませる気がします。ウクレレというシンプルな楽器の多様性を広げてくれた一流ミュージシャンだと思います。
グループサウンズ
私が小学校の上学年だった頃,ビートルズが来日公演を行い,日本中に大きなブームが起こりました。その影響もあり,ブルー・コメッツやザ・スパイダース,タイガースといった日本のバンドが人気を集め,「グループサウンズ・ブーム」が巻き起こりました。
当時は,テレビやラジオから毎日のようにバンドの音楽が流れており,グループサウンズの音楽は私たちの生活の一部となっていました。また,髪を長く伸ばし(当時の校則は確か坊主頭?),ギターケースを担いで歩く中学生たちの姿はとてもかっこよく見え,小学生たちの憧れの存在でもありました。
ドーナツ盤
当時のシングル・レコードは,中央の穴が大きく開いており,その形から「ドーナツ盤」と呼ばれていました。このドーナツ盤を再生するには,専用のセンターアダプターが必要でした。小学生の頃,そのアダプターをよく紛失し,レコードをボール紙に当てて型を取り,それを切り抜いて代用していました。そのままレコードプレーヤーで再生すると,歪に回転し針が飛ぶこともありました。
また当時のドーナツ盤(シングルレコード盤)は一枚300~400円程度,LP盤は2,000~2,500円ほどだったと記憶しています。

レコードプレーヤーの回転数をシングル盤は45回転,LP盤は33回転と切り替えながら,曲を聴いていたことを思い出します。
日曜の朝は名盤鑑賞
大人になってからは,仕事で疲れた気持ちをゆっくり音楽で開放していく大切な一時でした。今のようにスマートフォンで何時でも何処でも手軽に再生できるものではなく,「さあ,午前中は久しぶりにジャズを聴くぞ」と,コーヒーを挽き,プレーヤーを準備し,一曲一曲レコードジャケットから取り出し,針を落とし,ようやく音が流れるのです。
その分,音楽に向き合う時間は特別で,レコードジャケットのデザインや写真も,音楽を楽しむうえで欠かせない大切な要素でした。休日の音楽鑑賞は,お気に入りのLPレコード一枚を手に取り,ジャケットを眺めながら好きな曲を聴く,そんなひとときが,私の大変貴重な時間になるのです。