訪日外国人

城山展望所の外国人旅行者

 いつものように,城山自然遊歩道をウォーキングしていました。駐車場からお土産店を通り,展望所へ向かう途中で,(ドイツ語での会話から)ドイツ人と思われる2~30名のグループとすれ違いました。

・ 展望所には英語圏の旅行者たちもいました。

 城山展望所は海外からの旅行者が多く訪れる場所のため,耳に入る言葉から,どの国の観光客か推察することができます。夏場までは中国人観光客(韓国人含む)が圧倒的に多く,ヨーロッパからの旅行者はほとんど見かけませんでした。

 市の資料によると,鹿児島市を訪れる外国人観光客は年間およそ38万人前後とされています。国別では,中国,韓国,台湾からの来訪者が多く,その背景には鹿児島空港への直行便の存在が大きいのでしょう。現在は香港線が運休しているため,中国人観光客が減少していますが,城山展望所を歩くと直ぐに気づきます。
 鹿児島県は九州最南端に位置し,中国や韓国,台湾といった近隣地域から比較的アクセスしやすい地理的条件を備えています。そのため立地条件だけを見れば,さらに多くの訪日観光客が訪れても不思議ではありません。しかし,観光旅行には交通手段だけでなく,宿泊施設や受入体制,グルメ,観光資源の魅力発信など,さまざまな要因が複合的に関わるのが現状です。
 鹿児島を訪れる外国人観光客にとって最大の魅力は,やはり世界的に有名な活火山・桜島でしょう。その雄大な姿を望むことができる仙巌園や城山公園展望台は,常に人気上位の観光スポットとして高い評価を受けています。

 ところが最近は,中国人観光客が減った一方で,欧米や中南米からの旅行者をちらほら見かけるようになりました。旅行者全体の数は,以前と大きく変わっていないように感じます。

中国人団体客の実情

・ SNS情報によると,これまで欧米や中南米からの旅行者が日本への渡航を希望しても,飛行機の発着枠に制限があることに加え,ホテルや航空券が中国人団体観光客による早期予約(半年から一年前)で埋まってしまい,その確保が難しい状況が続いているそうです。
 ところが,今回の台湾有事をめぐる一連の動きにより,中国人観光客の予約キャンセルが相次ぎました。その結果,これまで日本旅行を希望しながらも実現できなかった人たちが,ようやく航空券や宿泊先を予約できるようになり,日本を訪れる旅行者が増えてきた要因のようです。
・ つまり,「中国人旅行者が来なくなれば,日本の旅行業界は大打撃を受ける」とするマスコミの報道内容と実態とはかなりかけ離れているようです。また,こうした状況は,前回の尖閣諸島国有化をめぐる騒動の際にも見られたと言われていますが,実際にはかなり前から続いていたことなのです。以前,当ブログでも紹介しましたが,現在の状況は40年以上前の昭和50年代の中国の旅行会社「MSツアー」の実態とほぼ同じなのです。
 当時から,過度な手数料要求や宿泊費の大幅な値引き交渉によって利益はほとんど出ず,さらにホテル内でのトラブルなどが原因で,日本人の顧客を失う事態が相次ぎました。その結果,旅行業界としては利益を得られないどころか,小さな事業所は倒産をはじめ,大きな負担を強いられるという散々な状況に陥っていたのです。
・ 今回,定期的に城山を歩いていたことで,こうした変化がはっきりと感じとれました。耳に入ってくる言葉や行き交う人々の様子から,訪れている人々の顔ぶれが以前とは変わってきていることが分かります。また欧米からの旅行者は,静かに振る舞い,決まりを守りながら観光地を訪れている印象を受けます。このように,数字や統計だけでは捉えにくい変化も,実際に現地を歩くことで,実感として伝わってくるものなのです。

・展望所からの桜島(午前中はうっすらと白いものが…)

皇太子のトイレの碑

 いつもは展望所を避けて歩くのですが,多くの観光客がきていたので展望台まで上がってみました。すると一番の奥で6~70代と思われる三人組の女性がベンチに腰かけ,桜島をバックにスマホで自撮りしていました。大きな声で賑やかに話しながら,とても楽しそうな様子でした。

 やがてそのうちの一人の方が,正面の石碑に気づき,大声で「へぇー,ここは皇太子がトイレをしたところなんだね」と言い,「ほら,『皇太子御手洗いの碑』って書いてあるよ」と言うのです。私は一瞬,そんな碑があったかなと,思わず振り向いて確認してしまいました。

 よく見ると,そこにあったのは「皇太子殿下御手植公孫樹」という石碑でした。私は思わず「違いますがね。『御手植え』ですよ」と突っ込むと,「あっ,本当だ」と私を含め4人で大笑いとなりました。

・「あっ,ホントだ」

 そこで私が「どちらからいらしたのですか」と尋ねると,「鹿児島です」とのことでした。それを聞いて,また「鹿児島の方が間違ったらダメでしょう」と,再び突っ込んでしまいました。するとその方は,「この展望所は小学校以来きていなくて,本当に何十年ぶりなんですよ」と,照れくさそうに笑っていました。おそらく,市外にお住まいの方たちで久しぶりに鹿児島市にきたのでしょう。思いがけず笑いの絶えないやり取りとなり,城山でのちょっとした楽しいひとときでした。

訪日観光客4000万人超え

 2025年度,日本を訪れた外国人観光客の数は4千270万人に達し,初めて年間4千万人を超えたそうです。主な要因は円安にあると言われていますが,その恩恵は一部の観光地だけで必ずしも日本の地方全体に行き渡っているわけではないようです。

 ここ城山展望所は,桜島の眺望が美しく,外国人観光客にも人気の高い所です。そのため,訪れる人々の様子を見ていると,訪日外国人観光の傾向がよく分かります。

 5,6年前と比べると,訪日外国人は1千万人以上増加し,特に中国人団体観光客の増加によるオーバーツーリズムが問題視されてきました。また,テレビなどでは高市総理発言で「中国人旅行者が激減すれば,ホテルや旅行業界が大打撃を受ける」と盛んに報じられていました。

 ところが,実際にふたを開けてみると状況はかなり違っていたようです。事前決済でキャンセルによる被害もなく,またこれまで中国人観光客の予約で埋まっていた飛行機や宿泊施設に空きが出たことで,代わりに欧米や中南米などからの旅行者が訪れるようになり,中国人客の減少による影響は,ほとんど見られないとのことです。

 さらに,中国人観光客は中国系のホテルやバス,白タク,中国人経営の土産店を利用することが多く,日本人事業者の売り上げには,もともとそれほど大きな影響を与えていなかったという事実も明らかになってきました。

 こうした現状を踏まえると,中国人観光客を巡るテレビ報道には,より冷静で正確な報道が求められます。実際の現場を歩いてみることで,数字や報道だけでは見えてこない真実が,はっきりと見えてくるようでした。

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