猫と山鳩
城山登山道をいつもの様にウォーキングしているとき,じっと何かを見つめている野良猫に出会いました。その猫は,私が近づいて背中を触っても動かないのです。気になって猫の視線の先を見ると,なんと山鳩が地面で砂浴びをしていたのです。どうやらその猫は,その鳩を狙っていたようでした。鳩がいた所は登山道から2~3m下った小枝に囲まれた窪みでしたので,猫が上から飛んで来たらひとたまりもありません。

①じっと何かを見ている野良猫
②鳩が動くと猫も忍者の如く移動
私を睨みつけ不満そうな猫
私はその山鳩の写真を撮ろうと近づきカメラを向けると,鳩は私の気配に気づき,木の上にサッと飛び立ちました。その瞬間,鳩を狙っていた猫がもの凄い形相で私を睨みつけ,「にゃー」と甲高く鳴きました。その目つきから,「お前のせいで鳩を取り逃がしたではないか」と不満そうな顔で訴えていました。私は思わず「ああすいません…」と頭を下げそうになりました。猫との会話が成立した瞬間でした。

③1ブロック移動して,飛び掛かるタイミングをはかる猫
④私の気配に気づき木に飛び移った山鳩
鳩にとって,猫は私の足元で隠れていたため,その存在にすら気づいていなかったようです。鳩は,「人間に襲われそうになったところで,自ら気づき助かった」と思っているかもしれません。一方,猫にとっては「狩りを邪魔された」と感じ,迷惑に思ったことでしょう。鳩や猫の視点から見ると,きっと「余計なことをしてくれた人間」としか映らなかったのでしょう。しかし,歩きながら考えていると,猫はともかく,鳩には少なくとも私が陰ながら助けたことに対する感謝の気持ちを持って欲しいと思いました。
難を逃れた山鳩にとって,私は「命を救った恩人」なのに…だんだんとそう思うようになりました。もし,別の鳩がその一部始終を見ていて,その鳩に伝えてくれたら,きっと鳩の恩返しがあるかもしれません…。期待して待ってみます。(欲深い人間です)

(本当はその時,写真を撮ることしか考えていませんでしたが…)