薬膳と季節の野菜や果物

薬膳の書籍

 妻がNHKのドラマ「しあわせは 食べて寝て待て」をみてから薬膳にはまり,私の図書券でこっそり薬膳の本を何冊も購入していました。その中から①大竹宗久著「症状別 発酵×薬膳」,②川手鮎子著「心も体ももっと,ととのう薬膳の食卓365日」,③別冊「天然生活」~山田奈美著「手仕事を楽しむ古民家暮らし」を紹介いたします。どの著書も図解入りで分かりやすく構成されています。

旬のものとは

 道の駅などでは,季節の野菜だけでなく,皮やひげ付きのトウモロコシ,葉っぱつきのラディッシュなど,薬膳に活用できそうな旬の素材が豊富に並んでいます。見た目も新鮮で,自然の力をそのままいただく薬膳の考え方に合うようです。

・ 今朝の朝食

 私が子どもの頃には,温室栽培や輸入野菜はほとんどありませんでした。田舎暮らしでほぼ自給自足,タラの芽やワラビ,ゼンマイなど野山で採れる山菜が食卓に並び,冷蔵庫もなく季節ごとの旬のものしか食べられませんでした。そもそもその当時「旬のもの」という言葉が使われていたのかも疑問です。その中でも, 浜せりやニガダケ(苦竹)は,昔からの大好物でした。今でも手に入ると必ず天ぷらにして食べます。苦味が絶品でビールともよく合うのです。

・浜セリ

 この薬膳の書籍によると,「春の苦味」が肝の働きを助け,体の目覚めを促すとされているそうです。また冬の間ゆっくり蓄えられた栄養分が苦味の中に蓄えられていると記されています。一番茶の値段が高い理由と同じようなことのようです。春になると自然のサイクルが一斉に動き出し,草花が芽吹きます。薬膳の基本である「旬のものを味わう」という原点がここにあるのだそうです。

 地方の学校で勤務していたとき楽しみの一つは,地域ごとの旬の味覚を味わったことです。春の山菜は種類が多いですが,山に入れば一年中採れます。この本を読んでいるうち,かつて地元の高齢者から山菜や魚などの料理法まで教えていただいたことを思い出しました。

 離島勤務時代,小学1年生だった長男の担任の先生が,生活科の授業で春や秋の七草を子どもたちと一緒に山で採り,プランターで育て,給食の時間に食べさせてくれました。野菜が苦手だった長男も,自分で採ってきた山菜はおいしそうに食べていたのが印象的でした。自ら採取し,季節とともに味わうという体験などは,薬膳の精神とも重なるのです。

 今朝の朝食の材料には「おかひじき」や「スィスチャード」「島みかんの皮」「クコの実」「種抜きデーツ」「アロエ」「トウモロコシのひげのスープ」など使われていました。

・ 天日干したトウモロコシのひげ 

我が家のアロエベラ

 一昨年からプランターでアロエベラを育てています。アロエベラは,食物繊維を含み,腸内環境のバランスを整え,近年の研究から糖尿病にもきくことを知ったからです。

幻のスイカ「徳光スイカ」

 令和3年に閉校した徳光小学校は,地元特産「徳光スイカ」の苗植え付けから,収穫・販売までを行っていてテレビ等でよく紹介されていました。学校に知人がいたこともあり,我が家では毎年「徳光スイカ」を食べるのを楽しみにしています。出回る時期も早く,出荷期間も非常に短いため,出荷量も限られてしまうことから,「幻のスイカ」とも呼ばれています。以前買いそびれてしまったので,電話で確認してから伺うようにしました。実がしっかりと締まり口に含むと瑞々しく,本当に美味しいのです。

 徳光スイカは,道の駅などで購入しています。同じ山川産のスイカと比べても価格は倍以上しますが,すぐに売り切れてしまうそうです。お店の方に伺ったところ,現在このスイカを生産している農家はわずか4軒しかないとのことでした。かつてはもっと多くの生産者がいたそうですが,温室の温度など24時間記録するなど栽培の管理が非常に大変なため,他の作物に転換したり,栽培をやめたりする農家が増えてしまったようです。

 徳光スイカが栽培されているのは,薩摩半島最南端の開聞岳の裾野に広がる山川・徳光地区です。この地域は,黒潮の影響による温暖な気候と豊富な地下水,さらに火山噴出物が厚く堆積した通気性に優れた土壌で,スイカの生育には最適なのだそうです。

 徳光スイカには,一目でわかるように等級やサイズを示すシールが貼られています。このシールは,形や大きさが正方形や三角形や正方形の半分になっており,スイカの状態や品質を分けで示しています。中身が割れているものもシールで確認できるため,購入者にとってはとても分かりやすい工夫です。

 このシールは非常に信頼性が高く,徳光スイカを選ぶ際には,スイカを叩いて音を確かめたり,重さを比べたりする必要がありません。一般のスイカと違い,シールの情報だけで品質が分かるので,安心して購入することができます。価格は高めですが,お客様も納得したうえで購入されているようです。普通のスイカは切ってみて中身がスカスカだったり,白い皮の部分が大きかったりすることもありますが,徳光スイカを購入して失敗したことは一度もありません。本当に日本一だと思います。

・地元山川スイカと売り切れた徳光スイカ

・A品     ・B品    ・C品

A品(中身が割れていない),B品(少し割れている),C品(完全に割れている)が,味の違いはない。

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