趣味の想い出

テレビコンバータの想い出

・ VHFとUHFの切替コンバータ

「もはや戦後ではない」と言われた昭和30時代,テレビコマーシャルが増えるにつれ,我が家でもちょっとした贅沢品とされる商品を購入出来るようになりました。

 私が小学校時代,鹿児島のテレビ局はNHK,NHK教育,MBCの三局だけでした。高学年になるとUHF放送のKTSが開局しましたが,当時の白黒テレビではコンバーター(変換装置)を取り付けないとUHFの番組を見ることができませんでした。我が家では父の「必要ない」との一言で,コンバーターを取り付けませんでした。学級の男子でコンバーターがない家は3軒だけでした。また,KTSの番組は何故か見たいマンガ番組が多く,翌日は番組の話で盛り上がっていましたが,その話題についていけず悔しい思いをしていました。

 その頃から家でテレビを見るよりは文具店や一銭店屋に出入りし,くじの付録の玩具やレアな小物を集めることを趣味とするようになりました。友人が欲しがる物は,高額なモデルガンと物々交換をし,かなり得をした記憶があります。 

切手収集のブーム

・ 仏像コレクション

 昭和40年代には,子どもたちのお小遣いで買える「国宝シリーズ」の切手が登場し,切手収集のブームが巻き起こりました。私も国宝シリーズ(第一次)は殆ど揃えることができました。当時,古切手を販売する店も近くに何件かあり足を運びました。徐々にプレミアが付き高い切手が増えていき,眺めるしか出来なくなりました。特に切手趣味週間シリーズの『見返り美人』や『月に雁』などは高額で,「いつかは欲しい夢の切手」でした。

 切手収集を通して,国宝シリーズの中の阿修羅像が気に入り,徐々に切手から仏像に興味が移っていきました。そして,仏像図鑑や模型,仏像小物などを集めることが多くなりました。

バラバラの阿修羅像

  

・ 興福寺の国宝館

 昭和54年の8月,奈良の興福寺で念願の阿修羅像を見ることができました。しかし,現在の国宝館のような立派な建物ではなく,内部は古びた公民館のような建物だったように記憶しています。中をいくら探しても阿修羅像が見当たらず,受付で尋ねると奥の部屋のショーケースの中にあるとのことでした。

 その部屋に入ると,阿修羅像は手や胴体がバラバラに解体され,高さ1メートルほどのガラスケースの中に押し込まれていたのです。学生ながら,これが国宝の扱いかと腹が立ちました。今思えば,工事か何かで一時的に解体されていたのでしょう。数年前に再び興福寺を訪れた際には,立派な展示場で優雅で気品のある阿修羅像が迎えてくれ,その美しさに息を飲みました。当時の印象とは大違いでした。

 今でも観光地のガシャポンなどで阿修羅像を見つけると,欲しくて大人買いをします。よくする仏像コレクションには金剛力士像,弥勒菩薩半跏像,阿修羅像の六種類が入っていますが,欲しい阿修羅像が中々当たらなくて,出てくるまで続けました。そして,阿修羅像の極彩色が出てきたときは思わずガッツポーズをするのです。

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