JBLのスピーカーで聴いた『日曜喫茶室』

 昭和50年代の学生時代,アルバイトをして中古のサンスイのプリメインアンプとJBLのスピーカーを購入して以来,毎週日曜日の昼にNHK-FMで放送されていた,はかま満緒の「日曜喫茶室」を楽しみに聴いていました。アパートの部屋でコーヒー豆を自分で炒り,丁寧にいれたコーヒーを飲みながらFMから流れる音楽は音質もよく,ジャズ喫茶にいるような感覚で聴くことができました。 

 ・山水アンプ

効果音が行かされる番組

 この番組では,各界の著名なゲストが来店し,最近の話題やゲストの専門分野について語り合っていました。常連客の話も興味深く,難しいテーマでも分かりやすく噛み砕いて説明してくれるので,思わず頷きながら聴き入っていました。 学生時代,少し大人になったような気分で,憧れの都会の生活を楽しんだ記憶がしっかりと思い出せます。

 ゲストが来店する際には「カラン,カラン」というドアベルの音で来店する演出でアシスタントの女性アナウンサーが「お飲み物は何にしますか」と声を掛ける場面が印象的でした。その瞬間,自分もコーヒーを一口飲み,まるで自分も喫茶室にいるかのような気持ちになりました。この一時がとても贅沢に感じられ,大好きでした。

・日曜喫茶室のスタッフ

 『日曜喫茶室』の回数が少なくなり,今から17~8年近く前から,日曜の同じ時間帯に松尾貴史の番組が並行して放送されていました。この番組は,『日曜喫茶室』の流れを汲むような形で,はかま満緒亡きあとも同じような落ち着いた番組で,日曜のお昼に穏やかな一時を提供してくれる大好きな番組でした。

 ・JBLスピーカー

 書店を舞台にした設定が特徴で,ゲストの著書や「とっておきの一冊」,さらにテーマに沿った書籍など,本の紹介を随所に交えながらトークが展開されました。そのスタイルが心地よく,純粋に楽しみにしていました。

 しかし,いつしか政治の話題が増え始め,興ざめしたことを覚えています。どういうわけか,芸人やタレントの人気が下火になると政治を語りたがる人が増えるように感じられるのは気のせいでしょうか。面白い内容とトークで純粋にその番組が好きで,毎週楽しみに聴いていたのに,突然政治の話が飛び込んでくると興ざめしてしまうものです。酒宴の席で政治を語るなとよく言われます。「聴きたくなければ聴かなきゃいい」と片付けるのではなく,政治抜きで純粋に番組が好きなリスナーがいることを忘れないでほしいと思います。2年程前にこの番組も終了しました。

さあ,一緒に聞き耳を立ててみましょう

 他にも,10年以上前まで土曜日の夕方に放送されていた東京FMの『サントリー・サタデー・ウェイティング・バー』もお気に入りの一つでした。この番組を聴くために,わざわざ車でドライブしながら楽しんでいたのを思い出します。

 舞台はイタリアンレストラン「アヴァンティ」のバー。常連客の紳士が「さあ,一緒に聞き耳を立ててみましょう」という言葉で始まる,客同士の会話が繰り広げられ「盗み聞き」しているようで楽しみでした。日曜喫茶室のようにドアの開閉音やシェイカーを振る音など,ラジオならではの効果音が雰囲気を盛り上げ,まるで酒場で隣の人たちの会話を聴いているような気分にさせてくれたのが,魅力でした。高校時代からラジオを聴いて育っている世代であり,ラジオは日常を忘れさせ元気をもらう大切なものです。好きだった番組が消え,面白くない番組だけが残っていると感じるのは,年を取ったせいなのでしょうか。これからもいい番組を作ってほしいと願っています。

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